Présentation- ゴーダ・シェーブル・オルティについて

ゴーダ・シェーブル・オルティ（Gouda Chevre aux Orties）は、オランダ伝統のゴーダチーズをベースに、牛乳ではなく山羊乳を用い、さらにイラクサの葉を練り込んだユニークなチーズです。山羊乳ならではの爽やかで軽やかな酸味とミルキーなコクがあり、そこにイラクサ特有の青々としたハーブの香りとほのかな苦味が加わることで、風味に奥行きが生まれます。

外観はゴーダらしい滑らかさを持ちながら、中の生地には緑の模様が散りばめられ、カットした瞬間から目にも鮮やか。セミハードタイプのしっかりとした食感で、若いうちはフレッシュなハーブ感が際立ち、熟成が進むとチーズ本来の旨みと調和して、より複雑な味わいへと変化します。

Histoire- ゴーダ・シェーブル・オルティの歴史

ゴーダ・シェーブル・オルティは、オランダを代表するチーズであるゴーダの製法をもとに生まれた比較的新しいスタイルのチーズです。伝統的なゴーダは牛乳を原料としていますが、オランダでは古くから山羊乳や羊乳も食材として親しまれてきました。20世紀後半になると、より軽やかでヘルシーな味わいを求める消費者のニーズが高まり、牛乳に代わって山羊乳を使った「ゴーダ・シェーブル」が登場します。

さらに、オランダの豊かな農業文化とハーブ利用の知恵が重なり、イラクサ（オルティ）の葉を練り込んだゴーダ・シェーブル・オルティが誕生しました。イラクサは中世から薬草や食材として活用されてきた植物で、その青々とした香りと栄養価は地域の人々にとって馴染み深いもの。このハーブを山羊乳チーズに組み合わせることで、伝統と革新を融合させたユニークなゴーダが生まれたのです。

Région-ゴーダ・シェーブル・オルティの生産地域

オランダの食文化は、北海に面した地理や長い交易の歴史、そして牧畜中心の農業によって育まれてきました。最も象徴的なのは乳製品で、とりわけチーズは国のアイデンティティともいえる存在です。ゴーダやエダムをはじめとするセミハードタイプのチーズは中世以来各地で生産され、今でも「チーズ市（Kaasmarkt）」が観光名所として賑わいを見せています。牛乳やバター、ヨーグルトも日常的に消費され、パンやポテト料理に添えて楽しむのが一般的です。

また、オランダの食卓にはじゃがいもを主役にした素朴な家庭料理が多く見られます。「スタンポット」はその代表で、じゃがいもをマッシュして野菜やソーセージと混ぜ合わせた温かな一皿は、寒さ厳しい冬の定番料理です。ニシンやタラといった魚も欠かせない食材で、「塩漬けニシン（ハーリング）」は街角の屋台で気軽に味わえる国民食として親しまれています。

さらに、17世紀の交易時代に東インド会社を通じてもたらされた香辛料や植民地文化の影響も色濃く残っています。たとえば、インドネシア料理の「リスタフェル」はオランダ流にアレンジされ、首都アムステルダムを中心に今でも広く楽しまれています。パンケーキの「ポッフェルチェス」やストロープワッフルといった甘味も庶民の味として定着し、カフェや市場で親しまれています。

Accord Vin et Fromage - 合わせるのにオススメなワイン

ゴーダ・シェーブル・オルティのように、山羊乳の爽やかさとイラクサのハーブ感が調和したチーズには、フレッシュで軽やかな白ワインがよく合います。たとえば、ロワール地方のソーヴィニヨン・ブランは、柑橘やハーブの香りがチーズの青々しい風味と共鳴し、口の中をすっきりとまとめてくれます。同じくアルザスのリースリングもおすすめで、ほどよい酸味と華やかな香りが山羊乳のコクを引き立てつつ、後味を爽やかに仕上げます。

少し違ったペアリングを楽しみたいなら、南仏のロゼワインを合わせるのも良いでしょう。ベリーやハーブを思わせる香りがチーズのイラクサと響き合い、彩り豊かな前菜やサラダとともに楽しむと、食卓全体が軽やかで華やかな雰囲気になります。また、微発泡のヴィーニョ・ヴェルデやプロセッコのようなスパークリングワインも相性が良く、チーズのハーブ感を引き立てながら食事をより爽快にしてくれます。

エルワンおすすめのチーズペアリング

Mas des Quernes / Le Perdreau de l'Annee Blanc 2023 南仏ラングドックの白ワイン。ソーヴィニョン・ブラン、グルナッシュ・ブラン使用、フルーティーさとハーブのニュアンス。オルティ（イラクサ）の清涼感とハーブの香りに、爽やかな白ワインが重なり、心地よい余韻。