Présentation- フルール・デュ・ヴィニョーブルについて

アルザス地方・オー＝ラン地域の美しい村、ベブレンハイム。その静かな風景の中に佇む、かつて修道院だった場所に、小さなチーズ工房「メゾン・フィッシャー」があります。ここで生まれるのが、まるで花束のようなチーズ「フルール・デュ・ヴィニョーブル（Fleur du Vignoble）」。

このチーズは、トム・スタイルのセミハードタイプで、低温殺菌された上質な牛乳から作られます。3ヶ月以上かけてじっくりと熟成される過程で、定期的に表皮を洗いながら旨味を引き出していきます。そして、仕上げに施されるのが、矢車菊、マリーゴールド、ベニバナ、バラという4種の食用花を使った華やかな装飾。見た目の美しさだけでなく、花のほのかな香りとフルーティーでやさしい味わいが、他のチーズにはない特別な体験をもたらします。

また、外皮も美味しく召し上がっていただけます。風味豊かで、内側の味わいとの絶妙なバランスをお楽しみください。

Histoire- フルール・デュ・ヴィニョーブルの歴史

「フルール・デュ・ヴィニョーブル」が誕生したのは、アルザスの伝統的なチーズづくりと、現代的な美意識が出会った瞬間でした。

製造を手がけるのは、アルザスのメゾン・フィッシャー。1900年代初頭から続くこの家族経営の工房は、古くは修道院だった建物を拠点に、地域の恵みと手仕事の技を大切にしながらチーズを生み出してきました。そして、現代のチーズ職人アンヌ・モーラーによって、従来のトム・スタイルチーズに華やかな装いを加えるという革新的なアイデアが形となりました。

3ヶ月以上の熟成を経たチーズに、色鮮やかな花びらを丁寧に押しつけるという手間のかかる作業は、まさに“食べられるアート”。使われる花はすべて天然・無農薬のもので、香りや風味にも計算が行き届いています。チーズとしての完成度だけでなく、見る人の心をときめかせる芸術性も兼ね備えた逸品は、まさにアルザスの自然と文化が生んだ奇跡と言えるでしょう。

Région-フルール・デュ・ヴィニョーブルの生産地域

フルール・デュ・ヴィニョーブルが生まれたアルザス地方、そしてその東側に広がるヴォージュ山麓の一帯は、フランスの中でも独特の食文化を持つ地域です。ドイツと国境を接するアルザスは、歴史的にドイツとフランスの間を行き来してきた背景を持ち、その食卓にも両国のエッセンスが共存しています。ソーセージやザワークラウトといったドイツ由来の食材や料理が、フランスの豊かな乳製品やバターと融合し、家庭的でありながら力強い味わいの料理が多く見られます。

ヴォージュ山麓に位置する村々では、山の恵みを活かした保存食文化が今も息づいています。寒冷な気候の中で育つジャガイモや根菜、そして燻製肉、チーズなどが中心となり、それらを使った素朴で滋味深い郷土料理が特徴です。特に「ベックオフ」と呼ばれる肉と野菜の白ワイン煮込みや、クグロフといった発酵菓子は、アルザスの家庭に欠かせない味。ワインづくりも盛んで、リースリングやゲヴュルツトラミネールなどの香り高い白ワインが、この地域の料理と絶妙に調和します。

Accord Vin et Fromage - 合わせるのにオススメなワイン

フルール・デュ・ヴィニョーブルの華やかな見た目と、やさしくミルキーでほんのりナッティな味わいには、同じアルザス地方の白ワインが抜群の相性を見せてくれます。たとえば、リースリングの辛口タイプは、チーズの穏やかな塩気や花のような香りと美しく調和し、清々しい酸味が後味をすっきりとまとめてくれます。また、少しアロマティックなゲヴュルツトラミネールを合わせれば、チーズに添えられた花びらの香りと重なり、口の中にふくよかな余韻が広がります。

軽やかで果実味のあるピノ・ブランやミュスカもおすすめで、特にフルーツやナッツを添えた盛り合わせの一部としてフルール・デュ・ヴィニョーブルを楽しむ際には、その明るさが全体を引き立ててくれます。ワインとチーズ、それぞれが持つ土地の記憶が共鳴し合うようなペアリングは、まさにアルザスならではの楽しみ方と言えるでしょう。

エルワンおすすめのチーズペアリング

	ラ・ジャジャ・デ・グランジェオン ミネラル感のある白ワインがチーズのアロマをすっきりとまとめます。
	クレマン・ダルザス   アルザス地方ならではのマリアージュ。フローラルな香りが口いっぱいに広がります。