Présentation- カンコワイヨット・サヴァニャンについて
カンコワイヨット・サヴァニャン(Cancoillotte Vin Savagnin)は、フランシュ=コンテ地方を代表する“軽やかなチーズ・フォンデュ”に、ジュラ地方固有品種サヴァニャン白ワインを贅沢に合わせた特別な一品です。
ベースとなるカンコワイヨットは、脱脂乳から作ったカードを溶かして仕立てる、きわめてユニークな加熱タイプのチーズ。油脂分が軽く、さらりとした口当たりながら、糸を引くような独特のテクスチャーが魅力です。そこに、ナッツやドライフルーツ、白い花のニュアンスをもつサヴァニャンワインを加えることで、クリーミーさの中にキレのあるミネラル感と、ほのかな酸味、心地よい塩味が重なり、驚くほど芳醇な味わいに仕上がっています。
とろり、新感覚。カンコワイヨットの楽しみ方
冷蔵庫から出したばかりでも、カンコワイヨットはしっかりと“とろり”。サラサラと流れ落ちるほどではありませんが、冷たい状態でこのなめらかさは、ほかのチーズにはない新感覚です。味わいは驚くほどフレッシュですが、香りはしっかりと存在感。白カビチーズの名品 カマンベールを思わせる、ミルキーなコクと軽いクセのあるアロマが、素材にふわりと旨みをまとわせます。
基本の温め方
フタと内側のセロファン包装を外してから、電子レンジ800Wで1分。加熱後は香りとコクがさらに立ち、スプーンですくってかける・塗る・絡めるソースとして活躍します。こんがりトーストしたバゲットやカンパーニュ、蒸し・茹で・ローストしたじゃがいも、ソーセージやハムなどのシャルキュトリー、さらにほうれん草・きのこ・ブロッコリーのバターソテーの仕上げにも抜群です。
冷たいままでも主役
温めずそのままでも、トーストやクラッカー、生ハムに乗せるだけで濃密なおいしさに。強めの香りが一気に花開き、素材の甘みや塩気と混ざり合って即・ごちそうになります。仕上げに 黒胡椒をぱらり、またははちみつをひと垂らしすると、フレッシュさが映えてさらに美味。
Histoire- カンコワイヨット・サヴァニャンの歴史
カンコワイヨットの起源は、中世のフランシュ=コンテ地方にまで遡ります。限られた乳資源を無駄にしないため、脱脂乳から作った固形カードを再び溶かして仕立てるという、質実で賢い“農家の知恵”から生まれたチーズでした。家庭ごとにレシピが異なり、鍋でゆっくり溶かし、香りづけにニンニクや白ワインを加えるなど、まさに“家の味”として受け継がれてきました。
その伝統に、ジュラ地方固有品種であるサヴァニャン白ワインを組み合わせたのが、このカンコワイヨット・サヴァニャン。ナッツや熟した果実のニュアンスをもつサヴァニャンは、古くからヴァン・ジョーヌやヴァン・ド・パイユなどのワイン造りで知られ、この地の食文化と切っても切れない存在です。
Région-カンコワイヨット・サヴァニャンの生産地域
フランシュ=コンテ地方の食文化は、アルプス山脈のふもとに広がる豊かな自然と、長い歴史の中で育まれた素朴で温かみのある料理が特徴です。森が深く、夏は牧草がたっぷりと茂るこの地域では、古くから酪農が盛んに行われ、チーズは食文化の中心的存在として受け継がれてきました。コンテやモン・ドール、モルビエ、ブルビオスなど、多彩なAOPチーズが生まれたことからも、その伝統の豊かさがうかがえます。これらのチーズは、大きな銅鍋で大量のミルクを煮詰め、山岳地帯でも保存がきくように仕立てられており、季節や地形と密接に結びついた“暮らしの知恵”そのものです。
さらに、この地方を語るうえで欠かせないのがジュラのワイン文化です。サヴァニャン、シャルドネ、プルサールなど個性豊かな品種を使い、ヴァン・ジョーヌやヴァン・ド・パイユといった独自のワインを育んできました。ナッツの香りや熟成由来の奥深さをもつこれらのワインは、地方のチーズとの相性が抜群で、食卓に豊かな調和をもたらします。
また、フランシュ=コンテでは保存食の文化も根づいており、ジュラの森で育った豚から作られるソーシソンやベーコン、スモークハムといった燻製料理がよく知られています。特に「モルテーのソーセージ」は冬の定番で、じゃがいもやレンズ豆と合わせて煮込む家庭料理として親しまれています。寒冷な気候の中でも体を温め、栄養をしっかりと摂るための知恵が詰まった料理です。
Accord Vin et Fromage - 合わせるのにオススメなワイン
カンコワイヨット・サヴァニャンの軽やかさと、サヴァニャンワイン由来のキレのある酸、ほのかな塩味は、同郷のジュラワインとの相性が抜群です。特に、同じサヴァニャン種で造られる白ワインは、ナッツやドライフルーツ、白い花のニュアンスがチーズの芳醇さと美しく響き合い、まさに“テロワールのペアリング”を体験できます。
フレッシュタイプのサヴァニャンや、オークで軽く熟成させたジュラの白を合わせると、チーズのクリーミーさに透明感が生まれ、心地よい余韻が長く続きます。少し個性的なワインを楽しみたいときは、ジュラが誇る名酒「ヴァン・ジョーヌ」を合わせるのも格別。シェリーのようなナッティな香りが、カンコワイヨットの奥ゆかしい旨みを引き立て、冬の食卓にぴったりの温かみある組み合わせになります。
より軽やかに楽しみたい場合は、フルーティーで酸味のバランスがよいシャルドネ(ブルゴーニュやロワールのミネラル感のあるタイプ)、または華やかな香りをもつアルザスの白(リースリング、ピノ・ブランなど)も好相性です。いずれもチーズの塩味とうまみをすっきりと受け止め、食欲をそそるペアリングに仕上がります。
エルワンおすすめのペアリング
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オーギュスト・ピルー / コート・デュ・ジュラ シャルドネ フローラル 2023
サヴァニャンの酸味と旨味を、ワインのミネラルが心地よく引き締めます。
軽い酸化の香りがチーズのコクに寄り添い、ジュラならではの調和。
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