Présentation- ブリー・クランベリーについて
ブリー・クランベリー(Brie Cranberry)は、フランスでごく最近生まれたばかりの新作チーズ。現地でもまだ出回り始めたばかりの、職人のアイデアと遊び心が光る一品で、日本への入荷は今回が初めてとなる注目の新顔です。
ベースとなるのは、パスチャライズした牛乳でつくられるクリーミーなブリー。とろけるようになめらかな生地に、甘酸っぱいクランベリーを混ぜ込むことで、フルーティーで華やかなアクセントが加わっています。ブリーのまろやかなコクに、クランベリーの爽やかな酸味と優しい甘みが重なり、思わず笑みがこぼれるバランスに仕上がっています。
口に含むと、ミルクのリッチさの奥からベリーの香りがふわりと立ち上がり、後味は軽やか。薄くカットしてそのまま楽しむだけで食卓の彩りになり、ワインや紅茶との相性も抜群です。
Histoire- ブリー・クランベリーの歴史
ブリー・クランベリーは、フランスを代表する白カビチーズ「ブリー」の長い歴史と、近年の“フルーツ×チーズ”の新しい潮流が出会うことで誕生した、最新のアレンジチーズです。
ブリーチーズの原点は、フランス北部・セーヌ=エ=マルヌ県。中世の宮廷でも愛されたその味わいは、何世紀にもわたって改良が重ねられ、フランスの食文化の象徴として受け継がれてきました。特にそのクリーミーな口当たりとミルクの奥深いコクは、あらゆる素材と調和する“受け皿の広さ”を持ち、チーズ職人たちの創作意欲を刺激し続けています。
近年フランスでは、若い世代のチーズ職人や熟成士が、伝統を尊重しつつも、果実やハーブ、ナッツなどを組み合わせた“ガストロノミックなブリー”を探求する動きが広がっています。ブリー・クランベリーは、まさにその流れの中で誕生した新作。ブリーのまろやかさに、クランベリーの甘酸っぱいアクセントを添えることで、軽やかで華やかな味わいを楽しめるチーズへと進化させました。
Région-ブリー・クランベリーの生産地域
フランス北部、イル=ド=フランス地域圏の東側に位置するセーヌ=エ=マルヌ県は、パリを中心とする洗練された食文化と、豊かな大地に根ざした農村の味わいが同時に息づく土地です。県内にはブリー発祥地で名高い村々があり、特に白カビチーズの王様とも称されるチーズは、この地域の誇りそのもの。同じ県で生まれたマスタードやクリーム、はちみつも、料理の奥行きをつくる重要な存在で、酪農と養蜂が暮らしに密着しているからこそ生まれる「濃く、まろやかで、香りが生きている」味わいが特徴です。
食卓には、バゲットやパン・ド・カンパーニュのような素朴で力強いパンが欠かせず、それにチーズやリエット、地元のハムをのせて味わうスタイルは、日常のごちそうとして親しまれています。「パンに塗る文化」が深いのは、コンフィやジャム、フレッシュクリームが多彩に生産されることとも関係しており、素材そのものの風味を活かしながらも、何かを「ひと塗り」することで完結する豊かさが愛されています。
また、伝統料理は決して気取らず、バターや生クリームを贅沢に使いながらも、野菜や肉の滋味を引き立てる方向へ向かいます。代表的なのは、じっくり煮込むポトフや、きのこクリームをまとわせたチキン、マスタードソースで仕上げるポークなど、シンプルな工程でありながら香りの層が生まれるもの。これはパリ近郊の食文化がもたらす「ソースの美学」と、セーヌ=エ=マルヌの土が育んだ「野趣ある素材」が掛け合わされた結果です。
Accord Vin et Fromage - 合わせるのにオススメなワイン
ブリー・クランベリーには、クリーミーなミルクのコクと甘酸っぱいベリーのニュアンスがあるため、その“脂感と酸味、甘み”を綺麗に受け止めつつ余韻をまとめてくれるワインが理想です。まず合わせやすいのは、フルーティで香り高い赤ワインです。特に上品な酸と柔らかなタンニンをもつブルゴーニュのピノ・ノワールは、クランベリーの赤い果実の香りと自然につながり、ブリーのリッチなテクスチャーを重くしすぎず軽やかに整えてくれます。果実味が「寄り添うように溶け合う」ので、ひと口ごとにチーズのクリーム→ベリー→ワインのベリーが同じ軌道を描き、余韻にやさしい一体感が生まれます。
また、少しカジュアルな赤であれば、ローヌのグルナッシュ主体の赤もよく合います。完熟赤いちごやラズベリーのようなジューシーさに、ほのかなスパイス香があるため、クランベリーの酸味を丸く感じさせながら、ナッツや蜂蜜を思わせるブリーの香りの層も引き出します。温度帯は少し低めの軽く冷やしたサーブがとてもバランス良く、ベリーの香りの「輪郭」がくっきりして相性が高まります。
一方で白ワインを選ぶなら、やや厚みのあるアロマティックな白、たとえばアルザスのリースリングやピノ・ブランも素敵です。リースリングの伸びやかな酸は、クランベリーの甘酸っぱさを「明るく押し上げ」、ピノ・ブランの落ち着いた洋梨やアプリコットのニュアンスは、ブリーのミルクの甘みと喧嘩せず穏やかに支えます。ここでも共通するのは、「ベリーの明るさを分断しないこと」。ベリーの酸味を直線で切るのではなく、香りの果実を重ねることで包み込み、クリームを次の一口へ導いていくタイプのワインが、ブリー・クランベリーの個性をいちばん幸せにしてくれるのです。
そして泡を合わせるなら、フランス産ロゼスパークリングも最高の選択です。泡のドライさがブリーの濃厚さを「ふわりと洗い流し」、ロゼの赤いベリー香がクランベリーと同じ言語でつながるので、さっぱりとエレガントな口福感で食卓が華やぎます。
エルワンおすすめのペアリング
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ジャン=クロード・ラパル / ボジョレー・ヌーヴォー 2025 ブリ―のまろやかさとクランベリーの酸味に、 ヌーヴォーの瑞々しい果実が溶け合う、秋限定の華やかなマリアージュ。
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果実味のある泡が、クランベリーの甘酸っぱさをより明るく。
まるでデザートのような心弾むペアリング。 |

