Présentation- プティ・カマンベール・ボカージュについて

ノルマンディー地方、オルヌ県の牧草地に囲まれた美しい自然環境が育てた乳で作られる「プティ・カマンベール・ボカージュ（Petit Camembert Bocage ）」は、豊かな風味を楽しめる白カビチーズです。その魅力は、とろりととろける柔らかな食感と、口に広がる生乳の芳醇さにあります。

チーズは生乳を使用し、時間をかけて静かに凝乳。その後、白カビが自然に形成されるまで熟成します。外側の白カビの皮も食べることができ、口当たりはとろけるように滑らか。最初は穏やかなミルクの甘みが感じられ、熟成が進むにつれてキノコのような深みがあらわれてきます。伝統的な木箱に収められて出荷される姿は、ノルマンディーのチーズ文化をそのまま伝える佇まいです。

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Histoire- プティ・カマンベール・ボカージュの歴史

プティ・カマンベール・ボカージュは、ノルマンディーのカマンベール地方で誕生した伝統的な白カビチーズの小サイズ版として、その名を刻んできました。カマンベールそのものは18世紀末にノルマンディーの農家、マリー・アレルによって広められたと伝えられています。

1880年代には、輸送性を高めるための木箱が考案され、カマンベールは一躍全国、そして世界へと普及。その後、小型タイプも登場し、家庭で食べきりやすいサイズとして親しまれるようになりました 。

AOC「Camembert de Normandie」を獲得した後も、銘柄にはパスチャライズド（低温殺菌乳）タイプと生乳タイプが共存していますが、プティ・カマンベール・ボカージュは、伝統製法と品質を重視した生乳使用で、現代の消費者にも支持されています。まさに“クラシックを小さく、日常に取り入れやすい形”にしたものとして、ノルマンディーのチーズ文化を家庭にそっと届け続けています。

Région-プティ・カマンベール・ボカージュの生産地域

ノルマンディー地方オルヌ県の食文化は、豊かな自然と伝統的な農業に根ざした、素朴で滋味深いものです。オルヌ県は、ノルマンディー地方の内陸部に位置し、海沿いの印象が強いノルマンディーの中でも、牧草地が広がる緑豊かな田園地帯。乳牛の飼育に最適な気候と風土を持ち、チーズやバター、クリームといった乳製品の宝庫でもあります。

この地域で特に誇られているのが、カマンベール・ド・ノルマンディーに代表される白カビチーズ。カマンベールの発祥地ともいわれる村は、まさにオルヌ県の一角にあり、そこでは今でも伝統的な手法でチーズが作られています。無殺菌の牛乳を使い、木箱に入れて熟成させるその製法は、オルヌの風土と職人の技の賜物であり、まさに地域のアイデンティティを体現する食の象徴です。

乳製品に加えて、この地域ではリンゴの栽培とその加工品も重要な位置を占めています。オルヌ県を含む南ノルマンディー一帯は、古くからシードル（リンゴ酒）の産地として知られており、シードル・ド・ノルマンディーやカルヴァドス（リンゴの蒸留酒）は、日々の食卓でも特別な席でも欠かせない存在。とくに脂ののった豚肉や鴨肉の煮込み、クリームを使った料理と合わせると、シードルのやさしい酸味が絶妙に調和します。

また、内陸の豊かな農地は、豚や鶏といった家畜の飼育にも適しており、シャルキュトリーの文化も根づいています。田舎風パテやテリーヌ、自家製のソーセージなどが、農家の台所や市場に並びます。どれも保存性に優れ、少しずつ切って楽しむ、そんな慎ましさと豊かさが同居した食文化です。

Accord Vin et Fromage - 合わせるのにオススメなワイン

プティ・カマンベール・ボカージュは、熟成が進むにつれてキノコや湿った土を思わせる複雑な香りと、ねっとりとした舌触りが加わっていきます。この風味の移ろいに寄り添うワインを選ぶことで、チーズの魅力を最大限に引き出すことができます。

まず王道のペアリングとしておすすめなのが、やや軽めで果実味のある赤ワインです。たとえば、ボージョレのガメイ種や、ロワールのピノ・ノワールなど、タンニンが穏やかで酸が程よく、赤系果実の香りをもつワインは、プティ・カマンベールのミルキーさと熟成香に柔らかく寄り添い、食べ疲れすることなく、ついもう一口を誘ってくれます。

また、カマンベールが生まれたノルマンディーの地酒を合わせるなら、フランス産のシードル（Cidre）は最良の選択肢のひとつ。リンゴ由来のやさしい酸味とわずかな甘み、そして発泡感が、チーズのコクと塩気をすっきりと流し、口の中をリセットしてくれます。とくに熟成が浅く、まだ若々しさを残すプティ・カマンベールには、このシードルの軽快さがよく合います。

白ワインなら、ブルゴーニュ地方のシャルドネ（樽香控えめなタイプ）や、ロワールのシュナン・ブランなどもおすすめです。これらは、チーズのクリーミーさやナッティな風味と響き合いながら、全体に透明感のある余韻を添えてくれます。ワインにやや酸を感じるタイプを選ぶと、口の中の油脂分をうまく中和して、後味をきれいに仕上げてくれます。

エルワンおすすめのチーズペアリング

	クール・ド・レザン フルーティーな果実味と柔らかなタンニンが、カマンベールの濃厚さを優しく包み込みます。
	クレマン・ダルザス   > フレッシュな泡が口の中の重たさを洗い流し、軽快に。