Présentation- 「タレッジョ・ブラマンテ」について

タレッジョ・ブラマンテ（Taleggio Bramante）は、イタリア北部ロンバルディア地方で育まれてきた伝統的なウォッシュチーズを、現代の感性で丁寧に仕上げた一品です。職人の繊細な手仕事によって、タレッジョ本来の魅力がやさしく引き出されています。

表皮からは穏やかで落ち着いた香りが立ち、カットするとミルクの自然な甘みと、ほのかに熟成を感じさせる奥行きのあるニュアンスが広がります。ウォッシュチーズならではの個性を持ちながらも、味わいはまろやかで、口当たりは驚くほどなめらかです。

中身はとろりと柔らかく、スプーンですくえるほどのクリーミーさ。パスチャライズ牛乳由来の安定感のあるコクが全体を支え、後味は重くなりすぎず、ゆったりとした余韻が続きます。クセが前に出すぎないため、ウォッシュタイプが初めての方にも心地よくお楽しみいただけます。

家族や友人と囲む食卓にも、静かに味わう時間にも寄り添う、イタリアらしい懐の深さを感じるチーズです。

Histoire- 「タレッジョ・ブラマンテ」の歴史

タレッジョの物語は、イタリア北部ロンバルディア地方に根づく素朴な酪農文化から始まります。山あいの暮らしの中で生まれたこのチーズは、やがてベルガモ周辺を中心に受け継がれ、第一次世界大戦後にはその品質の高さが評価され、国境を越えて知られる存在となりました。

タレッジョ・ブラマンテを手がけるのは、ロンバルディア州クレモナ県パンディーノに工房を構える Antica Latteria Agricola di Pandino。1941年の創業以来、ボナヴェンティ（Bonaventti）家が代々その製法と精神を守り続けてきました。

原料となるミルクは、工房から半径およそ10km圏内の牧場から集められたもののみ。土地に根ざした酪農家との密なつながりのもと、伝統的な工程でひとつひとつ丁寧に仕込まれ、時間をかけて熟成されていきます。最低35日間の熟成を経て完成するチーズには、この地域の風土と、人と人との協力関係が静かに息づいています。

世代を超えて受け継がれてきた手仕事と、変わらぬ製法。その積み重ねこそが、タレッジョ・ブラマンテのやさしく奥深い味わいを形づくっているのです。

Région-「タレッジョ・ブラマンテ」の生産地域

ロンバルディア州、とりわけベルガモ周辺の食文化は、山と平野が隣り合う土地ならではの「滋味深さ」と「実用性」が軸になっています。華やかさよりも、日々の暮らしに根ざした確かな美味しさを大切にするのが、この地域の特徴です。

アルプスの麓に広がるこの一帯では、古くから酪農が盛んで、牛乳やバター、チーズは食卓に欠かせない存在でした。タレッジョをはじめ、ストラッキーノ系のフレッシュでやわらかなチーズが多く生まれたのも、保存性と栄養価を両立させる知恵の表れです。ミルクの甘みやコクを活かした味わいは、派手さはないものの、身体にすっとなじむ安心感があります。

主食として親しまれてきたのは小麦よりもトウモロコシで、ポレンタはこの地域の象徴的な料理です。チーズを溶かし込んだ濃厚なポレンタや、肉やきのこを合わせた素朴な一皿は、寒さの厳しい山間部で人々の体を支えてきました。また、リゾットもロンバルディアを代表する料理のひとつで、バターやチーズを惜しみなく使い、なめらかでコクのある仕上がりが好まれます。

肉料理では、仔牛や豚肉を使った煮込みやローストが多く、バターやチーズと同様に「じっくり火を入れて旨みを引き出す」調理法が主流です。派手なスパイスは使わず、素材の味を活かすことが重視されてきました。

全体を通して感じられるのは、厳しい自然環境の中で培われた、実直で無理のない美味しさ。ロンバルディア、ベルガモの食文化は、豪華さよりも持続性を大切にし、世代を超えて受け継がれてきた日常の味の積み重ねと言えます。タレッジョのやさしく奥深い味わいも、まさにこの土地の食文化を映し出した存在なのです。

Accord Vin et Fromage - 合わせるのにオススメなワイン

タレッジョ・ブラマンテと合わせるなら、チーズの濃厚でクリーミーな質感を受け止めつつ、後味を軽やかに整えてくれるワインがおすすめです。コクがありながらも重くなりすぎないバランスが、ペアリングのポイントになります。

赤ワインでは、タンニンが穏やかで果実味の豊かなタイプが好相性です。バルベラは、いきいきとした酸がチーズのコクを引き締め、全体をすっきりとまとめてくれます。ピノ・ノワールも、やさしい果実味としなやかな口当たりが、タレッジョのなめらかさと自然に溶け合います。

白ワインを選ぶ場合は、フルーティでほどよい酸を備えたソーヴィニヨン・ブランやシャルドネがおすすめです。特に樽香を抑えたシャルドネは、チーズのミルキーな旨みを引き立てながら、口の中に丸みのある調和をもたらします。