Présentation- トム・ド・サヴォワ・ビオについて
トム・ド・サヴォワ・ビオ(Tomme de Savoie Bio)は、フランス東部、アルプス山脈のふもとに広がるオート=サヴォワ県で作られる、農家製のセミハードチーズです。約2か月間かけてじっくりと熟成されています。
ごつごつとした自然な外皮に現れる黄色や赤色の斑点は、熟成によって育まれたもの。どこか野趣を感じる素朴な姿の内側には、しなやかでやわらかな生地が隠れています。外皮もそのままお召し上がりいただけます。
口に含むと、穏やかなミルクの風味に、ナッツを思わせる香ばしさと熟成由来の豊かな香りが重なります。親しみやすい味わいでありながら、生乳ならではの複雑さと奥行きも感じられる一品です。
そのままパンやシャルキュトリーと味わうほか、じゃがいもにのせて焼いたり、オムレツやグラタンに加えたりするのもおすすめ。加熱すると生地がなめらかに溶け、ミルクのコクとナッツのような風味がいっそう豊かに広がります。
Histoire- トム・ド・サヴォワ・ビオの歴史
サヴォワ地方の山あいでは、限られた食料を大切に使いながら暮らす知恵として、古くから家庭や農場ごとに小型のチーズが作られてきました。その土地の日常に深く根づいてきたチーズが、トム・ド・サヴォワです。
「トム」という名称は、アルプス周辺で作られる円盤形のチーズを表す言葉として使われてきました。かつてはバター作りなどでクリームを取り分けた後のミルクも活用し、それぞれの農家が自家用のチーズへと仕立てていたといわれています。華やかな祝祭のためではなく、毎日の食卓を支える山の保存食として受け継がれてきました。
村や谷によってミルクの個性や熟成環境が異なり、一つひとつに違った表情が生まれるのも、このチーズの魅力です。自然な外皮を育てながら熟成させることで、ナッツや草、土を思わせる複雑な香りがゆっくりと重なっていきます。
1996年には「トム・ド・サヴォワ」の名称がIGP(地理的表示保護)に登録されました。現在も地域や製法に関する基準のもと、サヴォワの自然と農家の営みを映す伝統的なチーズとして作り続けられています。このビオタイプからも、土地に寄り添う酪農とチーズ造りの姿勢が感じられます。
Région- トム・ド・サヴォワ・ビオの生産地域
生産地であるオート=サヴォワ県は、フランス東部のアルプス山岳地帯に位置しています。険しい山々と深い谷、澄んだ水、緑豊かな牧草地が広がり、季節の移ろいがはっきりと感じられる地域です。
春から夏にかけて山の草地には多様な草花やハーブが育ち、冬には干し草が牛たちの大切な飼料になります。こうした山岳地帯の自然環境と季節ごとの変化が、ミルクの香りやチーズの風味に奥行きを与えます。
外皮の黄色や赤色の斑点は、熟成庫の環境のなかで自然に育つ微生物によって生まれるものです。約2か月の熟成中、チーズを丁寧に反転させながら外皮を育てることで、内側の生地はしなやかさを保ち、穏やかなナッツの香りを深めていきます。
サヴォワ地方では、チーズはそのまま味わうだけでなく、じゃがいもやパン、シャルキュトリーと合わせる温かな料理にも欠かせません。トム・ド・サヴォワ・ビオにも、厳しい冬をおいしく乗り越える山の暮らしと、自然の恵みを余すことなく生かす知恵が息づいています。
Accord Vin et Fromage - 合わせるのにオススメなワイン
トム・ド・サヴォワ・ビオのやさしいミルクのコクとナッツを思わせる香りには、爽やかな酸とミネラル感を持つ白ワインがおすすめです。
特に、サヴォワ地方の代表品種であるジャケールから作られる白ワインとは好相性。軽やかな果実味と清涼感のある酸が、チーズのしなやかな口当たりに寄り添い、熟成による香ばしさを引き立てながら後口をすっきりと整えます。
もう少し厚みのある味わいを楽しむなら、アルテスから作られるルーセット・ド・サヴォワを。洋梨や白い花、アーモンドを思わせる風味が、チーズのナッツのようなコクと穏やかに重なります。
赤ワインを選ぶ場合は、果実味がみずみずしく、タンニンの強すぎない軽やかなタイプがおすすめです。サヴォワ産のモンドゥーズなら、黒い果実やスパイスのニュアンスが自然な熟成香と調和します。パンやじゃがいも、きのこ、シャルキュトリーを添えれば、アルプスの食卓を思わせるペアリングを楽しめます。


