Le vigneron - 「ペガーズ」の生産者情報

「ペガーズ（Pegase）」を生産するディヴァン・ロワールは、2015年にオード・クラヴィエとそのパートナーによって設立された比較的若いワイナリーです。フランスのロワール渓谷の中心部、オワリー村に約10ヘクタールの畑を所有しています。

オード・クラヴィエは世界各地の生産者の下で修業を積み、自由な精神と洗練された感性を持ち合わせたワイン造りの達人です。彼女の独自の技術と感性が融合したディヴァン・ロワールのワインは、品位ある味わいと高い評価を得ています。

環境に配慮した持続可能なワイン造りを哲学とし、2019年にはフランスのオーガニック認証「AB」を取得。さらに2023年には、より厳格なビオディナミ農法に基づく「デメテール認証」も獲得しました。古樹のセレクション・マサルにも真摯に取り組み、環境と共生するワイン造りを実践しています。

醸造においては、ステンレスタンク、アンフォラ、様々な樽を巧みに使い分け、一切の添加物を排除した自然な醸造に徹しています。これにより、個性豊かなブドウの特性を最大限に引き出し、純粋で繊細な味わいのワインを生み出しています。

Description ‐ 「ペガーズ」の味わい、ブドウについて

「ペガーズ」は、オワリー村の砂質・粘土質土壌を持つわずか0.2ヘクタールの小さな区画で育てられた、マルベック100%のブドウから造られる特別な赤ワインです。このブドウは地元ではコーとも呼ばれています。

深みのあるルビー色に紫の輝きを放つ外観が印象的で、完熟したブラックベリーやプラムの豊かな果実香に、ほんのりとしたスパイスのニュアンスが広がります。フルボディでしっかりとした構造を持ち、黒い果実や黒コショウ、わずかな土の香りが感じられる複雑な味わいが特徴です。

醸造過程では、アルコール発酵後に225リットルの樽とドゥミ・ミュイ（500リットルの樽）でマロラクティック発酵を行い、9ヶ月間シュール・リー（澱と共に）熟成させています。また、収穫からボトリングに至るまで亜硫酸塩（SO2）を一切使用しないというナチュラルな醸造法を貫いており、ブドウ本来の風味と土地の個性を最大限に引き出しています。

滑らかなタンニンと長い余韻も「ペガーズ」の大きな魅力です。その名前はギリシャ神話に登場する天馬・ペガサスに由来し、力強さの象徴として名付けられました。特別な場面にふさわしい贅沢な味わいとともに、オワリー村の風土が感じられる上質なワインとして愛されています。

Région - 「ペガーズ」の生産地について

フランスのロワール地方の食文化は、「フランスの庭園」と称されるこの地域の豊かな自然環境を映し出す、多彩で洗練された伝統が息づいています。

この地域は「シャトーの谷」としても知られ、王侯貴族の影響を受けた洗練された料理の伝統があります。リラックスした食事と素材本来の味わいを大切にする「料理ブルジョワ」（市民の料理）が発達し、地元の旬の食材を活かしたシンプルながらも深い味わいの料理が特徴です。

ロワール渓谷は「フランスの菜園」とも呼ばれるように、野菜栽培が盛んで、特にアスパラガス、アーティチョーク、様々なサラダ菜が有名です。また、リンゴやナシ、チェリーなどの果物栽培も盛んで、これらを使ったタルトやコンポートなどのデザートも伝統的な食文化の一部です。

肉料理としては、「リエット」と呼ばれる豚肉のペーストが有名で、特にトゥールやル・マンのリエットは広く知られています。また、ロワール地方のノワール・ド・ビゴール種の鶏や、ショレ地区のウサギ料理なども郷土料理として親しまれています。

ロワール川とその支流では、鮮度の良い川魚を使った料理も伝統的です。特に「ブロシェ・オ・ブール・ブラン」（パイクのバターソース）や「マトロット」（魚のシチュー）などが代表的な料理です。

そして、ロワール地方の食文化を語る上で欠かせないのがチーズです。サント・モール・ド・トゥーレーヌやヴァランセといったヤギのチーズが特に有名で、地元のワインと共に楽しまれています。

Dégustation avec Fromage‐ チーズとのペアリング

「ペガーズ」のチーズとのペアリングには、特に、熟成ゴーダやコンテといった硬質でコクがあり、味わい深いチーズがおすすめです。ペガーズの豊かな果実味と滑らかなタンニンが引き立て合うでしょう。

今月のチーズとあわせて召し上がって欲しいペアリングワイン～ワインをセレクトしたエルワンからの一言

ディヴァン・ロワールの「ペガーズ」は、華やかなアロマと丸みを帯びた口当たりに、熟した果実とわずかなスパイスを感じさせる赤ワイン。クリーミーでミルク感の強いクール・バスクとは、まろやかさの中にある赤ワインの果実味が絶妙に寄り添います。

一方、力強く塩味の効いたブルー・ドーヴェルニュと合わせると、ワインの丸みがブルーチーズの刺激を包み込み、奥行きのあるマリアージュに。南西フランスとロワールをつなぐ、温かみある一体感をお楽しみください。