Le vigneron - クレマン・ダルザスの生産者情報
フランス・アルザス地方、絵本のような街並みが残るコルマールから南西へ約5km。アルザスワイン発祥の地のひとつ、ウェットルスハイム村に、家族経営のワイナリー「アンドレ・エルハート(André Ehrhart)」はあります。
エルハート家は1910年からこの地でブドウを栽培し続けており、現在は4世代目。1959年にアンドレと妻マリー・ジョセフィーヌが自社醸造を開始し、ドメーヌを設立。地元レストランや個人顧客への販売をはじめ、ドイツなど海外への輸出にも乗り出しました。
息子アントワーヌが1980年に加わり、1991年には妻レジーヌとともにドメーヌを継承。その後も貯蔵庫の新設や醸造設備の刷新など、着実な成長を遂げています。現在では10haを超えるAOP畑を所有し、そのうち4haがグラン・クリュという恵まれた区画です。
栽培は環境への配慮を大切にし、収穫はすべて手作業。ひと房ずつ丁寧に選果されたブドウは、劣化を防ぐため全房(raisins entiers)で圧搾され、温度管理された伝統的な醸造法とシュール・リー熟成によって、香り高く洗練されたワインに仕上げられます。
アルザスの風土と家族の情熱が詰まった、アンドレ・エルハートのワイン。「クレマン・ダルザス(Crémant d’Alsace)」をはじめとしたその味わいには、地域の歴史と自然、そして人の手仕事の美しさが息づいています。
Description - クレマン・ダルザスの味わい、ブドウについて
アルザス地方で長年愛されてきた伝統的なスパークリングワイン「クレマン・ダルザス」。なかでも、ドメーヌ・アンドレ・エルハートの一本は、ピノ・ブラン、ピノ・グリ、シャルドネ、そしてオーセロワといった厳選されたブドウから丁寧に造られています。
淡いレモンイエローの中にうっすらと緑がかった輝き。グラスに注ぐと、青リンゴや白桃を思わせるみずみずしいアロマが立ち上がります。きめ細かな泡立ちが口の中でやさしく弾け、生き生きとしたフレッシュさと、やわらかな丸みが心地よく広がっていきます。
味わいはドライ(辛口)ながら、酸味と果実味のバランスが絶妙。ふくよかなコクと洗練されたストラクチャーが感じられ、食前酒としてはもちろん、軽やかな前菜や魚介料理とも好相性です。
瓶内二次発酵による本格的な製法、手摘み収穫による品質へのこだわり。クレマン・ダルザスに求められる厳格なAOC基準を満たした、丁寧な仕事の積み重ねが、グラスの中で花開きます。
エルハート家が手がけるこの1本には、土地の恵みと家族の情熱、そしてアルザスの風が詰まっています。特別な日にも、日常の少し特別なひとときにもぴったりの、上品なスパークリングです。
Région - クレマン・ダルザスの生産地について
アルザス地方の食文化は、フランスとドイツの影響が絶妙に混ざり合った、独自の豊かさと温かみにあふれています。地理的にはフランスの北東部、ライン川をはさんでドイツと接しており、長い歴史のなかで両国の文化を受け継いできました。そのため、料理にはドイツ由来の素朴でボリュームのあるスタイルと、フランスらしい繊細なエッセンスの両方が息づいています。
この地方の代表的な料理といえば、まず「シュークルート(Choucroute)」が挙げられます。キャベツを乳酸発酵させたザワークラウトに、ソーセージや塩漬け肉をたっぷりと添えた一皿で、寒い冬にもぴったりな郷土料理です。また「タルト・フランベ(Tarte flambée/フラムクーシュ)」も人気。薄い生地にフロマージュ・ブラン(またはクレーム・フレーシュ)、玉ねぎ、ベーコンをのせてカリッと焼き上げたもので、ピザにも似ていますが、より軽やかで香ばしい味わいが特徴です。
アルザスはまた、ガチョウや鴨のフォアグラの名産地でもあります。特にフォアグラのテリーヌや、クレマン・ダルザスと合わせて楽しむ一皿は、この地域の豊かな食文化を象徴する贅沢のひとつです。さらに、ブフ・ア・ラ・モード(赤ワイン煮込み)や、シュペッツレ(卵入りのドイツ風パスタ)なども家庭で親しまれており、どの料理も素朴ながら滋味深く、土地の風土が感じられます。
スイーツにも個性があり、クリスマス時期にはスパイス入りのビスケット「ブレデル」が各家庭で焼かれますし、ブリオッシュ生地にドライフルーツを加えた「クグロフ」も、朝食や祝いの席に欠かせません。こうした食文化を支えているのが、地元の白ワインやビールの存在です。リースリングやゲヴュルツトラミネールといった華やかな香りのワインは料理との相性も抜群で、食卓に欠かせない名脇役となっています。
Dégustation avec Fromage - チーズとのペアリング
クレマン・ダルザスに合わせたいチーズを選ぶとき、まず意識したいのはその味わいのバランスです。きめ細やかな泡と、青リンゴや白桃を思わせるフレッシュなアロマ、そして辛口ながら丸みのある酸味とコク。これらを生かすには、同じく繊細さと爽やかさを持つチーズがよく合います。
たとえば、フレッシュタイプのシェーヴルはその筆頭です。なかでも熟成の若いヴァランセやクロタン・ド・シャヴィニョルといったチーズは、ほのかな酸味と清涼感がクレマンの泡と響き合い、口の中を心地よくリセットしてくれます。
また、ブリア・サヴァランのようなクリーム系の白カビチーズとも相性抜群です。なめらかでリッチな口当たりを、クレマンのシャープな酸が軽やかに引き締め、味わいにメリハリを与えてくれます。パーティーやアペロタイムには、こうしたクリーミーなタイプと合わせて、小さなタルティーヌ仕立てにしても楽しいかもしれません。
ハードタイプでは、ミディアム熟成のコンテやトム・ド・サヴォワなども好相性です。ナッツのような香ばしさやほんのりとした甘みが、クレマンの果実味と調和し、複雑さを引き立ててくれます。特に熟成が若すぎず、硬すぎないタイプを選ぶことで、泡との一体感がより引き立ちます。
エルワンおすすめのチーズペアリング
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ほのかなヘーゼルナッツの香りとミルキーなコクが広がる、サヴォワ地方の定番チーズ。 |
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力強く濃厚な風味が特徴の小さなカマンベール。 |
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アイリッシュチェダーにポーター(黒ビール)を練り込んだ個性的なチーズ。 |
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ゲヴュルツトラミネールのマールで熟成された芳醇な香りが魅力のチーズ。 |

