Présentation - ポンタリエについて
ポンタリエ(Pontarlier)は、ジュラ山脈の緑豊かな牧草地で牛が草を食む夏の間(5月から10月の間)の生乳のみで作られる、伝統的な牛乳チーズです。低温の天然セラーで最低24ヶ月熟成させることで、美しい表皮と、とても心地よくしなやかな舌触りが生まれます。フルーティーなで、少し動物的な風味も感じられるコクのあるハードチーズです。熟成が進むと、少しずつ結晶が作られ、しゃりっとした独特の食感を楽しむことができます。バゲットに挟んでサンドイッチにしたり、キューブ型に切ってサラダに加えたり、旨味をたっぷり楽しんでいただけるチーズです。
Histoire - ポンタリエの歴史
「ポンタリエ」という名は、フランスのコンテ地域にある一部の地名に由来しています。この地域のチーズ製造業者が、「コンテ」の名称を使うために求められる厳しい基準──風味や食感、見た目や外皮、さらには生産地の条件など──をわずかに満たさなかった製品に、新たな呼び名として「ポンタリエ」を与えたことが、このチーズ誕生のきっかけです。
とはいえ、品質が劣るというわけではまったくなく、むしろコンテとは異なる個性を持つチーズとして認められ、通好みのチーズとして愛されています。伝統を踏まえつつも、少し外れたからこそ生まれた“もうひとつの味わい”が、食通たちを惹きつけてやまない理由です。
Région - ポンタリエの生産地域
フランス東部、スイスとの国境に広がるジュラ山脈の麓に位置するコンテ地域は、自然と共に生きる暮らしが色濃く残る土地であり、その食文化もまた、四季の移ろいと山の恵みに深く根ざしています。
この地を代表するのが、何といってもコンテチーズ(Comté)です。標高の高い牧草地で育まれた牛のミルクを使い、山中の小さなフロマジュリー(チーズ工房)で仕込まれ、さらに石造りの熟成庫で数カ月から数年にわたり熟成されることで、旨みと香りが凝縮された逸品になります。
またチーズだけでなく、燻製肉や保存食品もコンテ地域の食文化の大きな柱です。たとえばモルトーソーセージやジュラハムなどは、冷涼な気候と豊富な森林資源を活かして、伝統的な燻製技術で作られ、冬の保存食として親しまれてきました。これらはシンプルな野菜の煮込みやレンズ豆料理とともに、素朴ながら滋味深い一皿を形づくります。
Accord Vin et Fromage - 合わせるのにオススメなワイン
ポンタリエは、コンテに近い製法で作られるセミハードタイプのチーズでありながら、やや控えめでまろやかな味わいと、素朴な乳の風味が魅力です。そのニュアンスを引き立てるには、同じジュラ地方のワインとのペアリングが最も自然で心地よい相性を生みます。
なかでもおすすめなのが、ヴァン・ジョーヌ(Vin Jaune)。これは長期の酸化熟成を経て生まれる独特のナッティな香りをもった白ワインで、ポンタリエのやわらかな塩味と乳の旨みを包み込むように広げてくれます。チーズの素朴さとワインの複雑さが響き合い、じっくりと味わいたくなる余韻を残します。
もう少し軽やかなペアリングを楽しみたいときは、クレマン・デュ・ジュラ(Crémant du Jura)などのスパークリングワインも良い選択です。泡の爽快感がポンタリエのミルキーなコクを軽やかにし、アペリティフにもぴったりの組み合わせになります。
また、コンテの若熟タイプと近いポジションであることを考えると、シャルドネ種の樽熟白ワインとも好相性です。バニラやトーストのようなニュアンスが、ポンタリエの優しい風味に奥行きを加えてくれるでしょう。
チーズをセレクトしたエルワンおすすめのペアリングワイン
![]() |
ミルキーでナッツのようなコクのあるハードタイプに、ワインのフレッシュさがバランス◎ |
![]() |
熟成感のあるコクを、ワインのベリー感とスパイシーさが引き立ててくれます。 |