La Jaja Des Grangeons

ラ・ジャジャ・デ・グランジェオン

蔵元:Luc Bauer / リュック・ボエ ワイン名: La Jaja Des Grangeons / ラ・ジャジャ・デ・グランジェオン 産地:フランス 、サヴォワ地方 カテゴリ: 白ワイン ブドウ🍇:ジャケール100%
¥6,200
税込

Le vigneron - ラ・ジャジャ・デ・グランジェオンの生産者情報

 

フランス・サヴォア地方、アルプスの麓に広がるアルジス山塊。その美しい自然に魅せられたリュック・ボエ(Luc Bauer)は、この土地のテロワールを純粋に映し出すワインを目指して、日々畑に向き合っています。

彼のアプローチは、環境への敬意と自然への信頼に満ちたもの。ビオやビオディナミ農法を実践しながら、アルプスの険しい急斜面に広がる石だらけの畑を耕す姿は、まさに自然との対話そのものです。太陽がじりじりと照りつける過酷な条件のなかで育つブドウは、土地の個性を濃密に宿し、他にはない魅力を備えています。

2011年、リュックはわずか1.2haの畑を借り、自らのワイン造りをスタートしました。栽培請負の仕事と並行しながらの挑戦でしたが、彼のワインには、早くもこの地の伝統を蘇らせるような力強さが感じられました。扱う品種は、サヴォアを象徴する白品種アルテス(ルーセット)や、収量管理が難しい赤品種モンドゥーズ。どちらも栽培の難易度が高く、ワイン造りには繊細な感性とたゆまぬ手仕事が求められます。

リュックはまた、自然派ワインの思想的源流であるジュール・ショヴェ博士に学び、ナチュラルワインの伝説的存在ジャック・ネオポールからも直接指導を受けてきました。特に2014年には、ネオポールがたびたびリュックのもとを訪れ、醸造の手ほどきをしながら深い対話を重ねたといいます。その教えは今も彼のワインに生きており、ひと口飲めばその確かな系譜を感じ取ることができます。

現在では、耕作請負の仕事を辞め、手に入れた新たな畑とあわせて3haの自社畑からワイン造りに専念。試験的なキュヴェにも積極的に取り組みながら、サヴォアの可能性を静かに、しかし情熱的に切り拓いています。



Description - ラ・ジャジャ・デ・グランジェオンの味わい、ブドウについて


「ラ・ジャジャ・デ・グランジェオン(La Jaja Des Grangeons)」は、サヴォア地方の固有品種ジャケールを100%使用した、自然な手法から生まれる白ワインです。使用されるぶどうは、樹齢50年という貴重な古木から得られるもので、認証こそないものの、農薬や化学肥料を使わない丁寧な栽培が行われています。畑は、崩れた石が転がる真南向きの斜面にあり、太陽の恩恵と冷涼な空気のコントラストが、この土地ならではのキャラクターを育みます。

収穫は9月、リュック・ボエ自身の小さなチームによって手作業で行われました。その後、600Lの古樽(ドゥミ・ミュイ)で11か月間ゆっくりと熟成され、マロラクティック発酵を経て、瓶詰め直前に極少量(1g/hl)のSO₂のみが添加されました。わずか1000本のみの生産という希少性も、このワインの特別さを物語っています。

グラスに注げば、淡いイエローの中に細かな澱が舞い、自然派らしい生命感のある表情が現れます。香りは洋ナシや熟した黄色い果実、レモンパイのような甘酸っぱいニュアンスに、チャービルやフェンネルといった北方系のハーブの香りも重なり、どこか山の空気を感じさせる清々しさがあります。さらに、熟成によるごくわずかなバニラのようなやわらかさが、香り全体にやさしい輪郭を加えています。

味わいは非常にピュアで、口に含んだ瞬間から果実のジューシーさときらめくような酸が広がります。ミネラルとのバランスも見事で、透明感がありながら、芯のある構成力を感じさせます。まるでアルプスの湧き水のように清らかで、飲むたびに光を感じるような、そんな印象すら抱かせる一本です。



Région - ラ・ジャジャ・デ・グランジェオンの生産地について


サヴォワ地方の食文化は、アルプスの大自然に根ざした力強さと、山で暮らす人々の知恵が織りなす温かさに満ちています。フランス東部、スイスやイタリアと国境を接するこの地方は、冬は厳しく雪深い土地。そんな環境の中で、人々は体を温め、長く保存できる料理を工夫してきました。

代表的な料理といえば、「タルティフレット(Tartiflette)」。じゃがいも、ベーコン、玉ねぎを炒め、地元のウォッシュタイプのチーズ「ルブロション」をたっぷりとのせて焼き上げた、濃厚で滋味深い一皿です。また、「ラクレット」もこの地域の定番。専用の機械で温めたチーズをとろりと溶かし、じゃがいもやシャルキュトリーにかけていただくスタイルは、家族や仲間と囲む食卓にぴったりです。

冬の保存食として発展してきたハムやサラミなどのシャルキュトリーも豊富で、スモークの効いたソーセージやサヴォワ産の生ハムは、素朴ながら力強い旨みを持っています。こうした食材はチーズとともに、ワインや地元のハーブリキュールと合わせて楽しむのがサヴォワ流。

スイーツには「ファルス・リュス」や、サヴォワ・ケーキと呼ばれるふわふわのスポンジ生地の菓子など、卵と小麦粉を使った素朴な焼き菓子が多く、いずれも家庭的でやさしい味わいです。



Dégustation avec Fromage - チーズとのペアリング


「ラ・ジャジャ・デ・グランジェオン」に合わせたいチーズは、ワインのしなやかな骨格と野性味のバランスを映すような、“熟成のニュアンスを持ちながら、過度に主張しすぎないチーズ”です。

たとえば、サヴォワ地方で造られるボーフォール・エテは格別です。高地の牧草を食べた牛のミルクから造られたこのハードチーズは、ナッツや干し草、バターのような香りを持ちつつ、繊細で透明感のある味わい。ラ・ジャジャの果実やハーブの香りと呼応し、古樽由来のまろやかなタッチとボーフォールの旨みが美しく重なります。特に18ヶ月以上熟成させたものを選ぶと、ワインの深みと響き合います。

あるいは、熟成型のラングルエポワスのようなウォッシュタイプをほんの少量、よく冷やして合わせるのも面白いアプローチです。ウォッシュ特有の香りは控えめなものを選び、果実味と塩味がふわりと交わることで、ワインにある微かなバニラ香やレモンパイのニュアンスが引き出されます。ここでの鍵は“量と温度”。チーズは小さく、やや冷たい状態で提供することで、重さを避けつつ余韻の奥行きを広げられます。

また、意外かもしれませんが、栗やヘーゼルナッツを練り込んだフレーバーチーズとの相性も見逃せません。ラ・ジャジャのしっとりした酸と果実の甘やかさが、ナッツ由来の香ばしさを引き立て、秋の山の食卓を思わせる温かみを演出します。

 

エルワンおすすめのチーズペアリング

 

 

トム・ド・サヴォワ

ほのかなヘーゼルナッツの香りとミルキーなコクが広がる、サヴォワ地方の定番チーズ。

 

 

サン・セオル

クリーミーでなめらかな食感。クセがなく、ミルクの甘さが感じられるフレッシュチーズ。

 


プティ・カマンベール・ボカージュ

力強く濃厚な風味が特徴の小さなカマンベール。

 


ポーター・チェダー

アイリッシュチェダーにポーター(黒ビール)を練り込んだ個性的なチーズ。

 


フルール・デュ・ヴィニョーブル

ゲヴュルツトラミネールのマールで熟成された芳醇な香りが魅力のチーズ。

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