Le Vigneron – ボーラ・ビアンコの生産者情報
ヴェネト州・エウガネイ丘陵に位置する自然派ワイナリー「カルパネーゼ・エリーザ(Azienda Agricola Carpanese Elisa)」は、2021年に誕生した新たなプロジェクトです。手がけるのは、同地の老舗ワイナリー「アッラ・コスティエッラ」の当主フィリッポ・ガンバの妻であり、長年ともにワイン造りに携わってきたエリーザ。彼女がこの土地への深い敬意と愛情をかたちにしたいと立ち上げたのがこのワイナリーです。
「良いワインは、まず良いブドウから」。この信念のもと、エリーザはすべての畑を無農薬で管理し、自然酵母を用いた醸造、セメントタンクでの発酵・熟成といったクラフトな手法を貫いています。畑があるのは標高170m、南西向きの火山性土壌という恵まれた環境で、樹齢50年以上のリースリングやタイ・ビアンコ、カベルネ・フランなどを育てています。
自身の手で畑を見守りながら、醸造には夫フィリッポの助力も得ており、夫婦二人三脚で土地の個性と季節の移ろいを丁寧にボトルへと写し取っています。代表作の「ボーラ・ビアンコ(Bora Bianco)」には、この地の陽光や風土がそのまま溶け込んでいるかのような、素朴でいて力強い魅力が宿っています。
Description – ボーラ・ビアンコの味わい・ブドウ品種
ボーラ・ビアンコは、樹齢およそ50年の古木から手摘みで収穫されたタイ・ビアンコ(50%)とリースリング(50%)を使用した一本。畑は無農薬で管理されており、9月中旬に収穫されたブドウは、自然酵母によりセメントタンクで発酵。その後、4〜5日間のマセラシオン(果皮浸漬)を行い、マロラクティック発酵と生分解的な澱引きを経て、11ヶ月の熟成期間を経たのち無濾過で瓶詰めされます。
香りには、リンゴやはっさく、ライチ、金木犀といった華やかな果実や花のニュアンスが立ちのぼり、そこに蜂蜜のような柔らかな甘みが重なります。口に含むと、透き通るような酸とミネラルがなめらかに広がり、繊細ながらも旨味のある果実味が舌の上に心地よく残る仕上がり。バランスに優れ、飲み心地のよさと土地の個性をどちらも感じさせてくれる味わいです。
Région – ボーラ・ビアンコの生産地情報
ボーラ・ビアンコは、イタリア北部ヴェネト州のエウガネイ丘陵(Colli Euganei)で育まれています。畑は標高170m、火山岩と泥質土壌が交じり合う南西向きの区画にあり、昼夜の寒暖差が大きく、ブドウに豊かな酸とミネラル感をもたらします。こうした環境は、ライン系品種のリースリングや、イタリア固有品種のタイ・ビアンコにとって理想的なテロワールです。
食文化にもその豊かな自然環境が色濃く反映されています。内陸の山間部では、素朴で力強い料理が受け継がれ、海沿いのヴェネツィア周辺では、魚介をふんだんに使った繊細な料理が親しまれています。
ヴェネト州の食文化を語るうえで欠かせないのが「ポレンタ」です。トウモロコシの粉を煮て作るこの料理は、古くからこの地の主食のひとつで、肉や魚、チーズなどさまざまなおかずと合わせて食べられてきました。特に寒い地域では、ポレンタにジビエやソーセージ、野菜の煮込みを添えるのが定番です。
一方、ヴェネツィアでは「サルデ・イン・サオル」(玉ねぎと酢でマリネしたイワシ)や「バッカラ・マンテカート」(干し鱈をクリーミーに仕立てたペースト)など、保存性の高い伝統的な魚料理が今も受け継がれています。これらの料理には、海上貿易で栄えたヴェネツィアらしい知恵と工夫が感じられます。
また、ヴェローナやヴィチェンツァなど内陸の都市では、肉料理も豊富です。馬肉を煮込んだ「パストゥィッソ」や、レバーや野菜を使った「フィガート・アッラ・ヴェネタ」など、地域ごとの特色ある郷土料理が根づいています。
ヴェネト州はまた、チーズやワインの名産地でもあります。アジアーゴやモンテ・ヴェロネーゼといった個性豊かなチーズが各地で生産され、ワインではスパークリングのプロセッコ、フルボディのアマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラなど、世界的に評価の高い銘柄が数多く存在します。
Dégustation avec Fromage – チーズとのペアリング
フレッシュフェタや、若いコンテ、グリュイエール、そしてシェーヴルが、このボーラ・ビアンコと特によく合います。フレッシュフェタのしっかりした酸は塩味によく寄り添い、コンテやグリュイエールのナッティな香りと軽い熟成感はワインの蜂蜜とミネラル感と好相性を示します。また、シェーヴルの繊細な酸味とクリーミーな質感は、ワインの酸と果実味と見事に響き合います。
エルワンおすすめのチーズペアリング
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セミハードの香ばしさとミルキーなコクに、リースリングの酸と苦味が美しいコントラストを与えます。 |
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マスタードのピリッとした香りに、ワインの果実味が丸みを与え、意外性のある調和が生まれます。 |